調査人員が8割減!? 森林を3Dで”見える化”するIT活用で、利益を生む林業経営へ
2021/09/27

林業のDX化は、現場レベルでどの程度進んでいるのだろうか?八ヶ岳南麓地域で、ITツールを導入して森林管理を効率化している林業事業体を訪ねた。
ITを活用しスマートに森林管理!
導入したきっかけ
日本有数の避暑地・観光スポットである清里を有する八ヶ岳南麓地域で林業を営む、有限会社天女山。ここでは、ITツールを活用し、スマートな森林管理を行っているという。代表取締役社長の小宮山信吾さんが教えてくれた。
スマート林業など先進的な取り組みを行う、山梨県の認定林業事業体、有限会社天女山の代表取締役 小宮山信吾さん。1958年に祖父の福一さんが創業した同社の3代目だ。
「当地は今では避暑地や観光スポットとして人気ですが、今日取材していただいた一帯は祖父の代に山火事があり、何も無くなってしまったんですよ。そこに木を植えたのが私の祖父。そして今、3代目の私が伐倒して利用させていただいています。
この八ヶ岳南麓地域は、地域の知名度は高いのですが、残念ながら銘木の産地ではありません。端的に言ってしまえば、並材ばかりです。
ですから高精度な3次元計測システムで時間を掛けて1本1本の価値を知ることには、あまり意味がありません。調査する時間があるなら材を切り出して森を管理したい、というのが本音です」。
元々は造林会社だった天女山だが、10年前から素材業にも参入した。だから山を利用するだけでなく、育てることにも力を入れている。
高く売れないから、より多く伐採したい。それには調査が必要だし、伐採や植林する人員も必要となる。
限られた社員で継続して多様な作業をこなすために「何かしなければ……」と模索していた信吾さんが知り合いから紹介されたのが『AssistZ/ScanSurveyZ』。IT導入補助金を活用して導入した。
伐採量を増やすためIT導入
具体的な効果は?
●調査人員が8割削減! 現地調査時間は1/2に
(右)「1haあたり10名だった調査人員が今では2名になりました!」とは小宮山さん。人員の8割削減を達成した。(左)作業道のルート選定にかかわる現地調査時間は従来の1/2に短縮された。その短縮した時間で伐採作業ができる。
「効果は予想を遥かに上回りました(笑)。山林調査人員の削減と作業道調査時間の短縮に成功(上の説明参照)しただけでなく、施業提案がスムーズになったことが、何よりも大きな成果です。
山林所有者さんに『AssistZ/ScanSurveyZ』で3D化した山をお見せすると『こんな時代になったのですか……あなたに任せます!』と喜んでお仕事を頂けることも珍しくありません。
これまでの見積もりは紙ベースで、経験に基づいた、悪く言えば曖昧なものでした。それが目で見て分かる形で出せるのですから説得力が違います。
その3D化を短時間でササっとできてしまうのが『AssistZ/ScanSurveyZ』の長所です。積材計算の精度も充分に確保されていますから、ほぼ見積の通りに作業が可能です」と笑顔で教えてくれた。
有限会社天女山が導入した
『AssistZ/ScanSurveyZ』とは
撮影した画像から森林を3Dで”見える化”!
『Assist Z/ScanSurvey Z』は、ドローン空撮画像や国土地理院データ等を取り込み3Dで見える化するソフトウェア。
境界基本調査、材積計算、作業道設計など多数の機能を搭載しており、森林経営管理制度・環境税譲与税・森林ICTへの連携も可能。誰でも簡単に使いこなすことができるのも魅力だ。