森林台帳もラクラク生成可能! 3D点群データ解析ソフトが安価なサブスクで登場
2020/12/25

3D点群データを自動解析できるオンライン処理ソフト「スキャン・エックスクラウド」が今年9月にリリース。林業向け機能として、樹種自動分類や樹木カウント、森林台帳生成等を挙げている。現状の機能から今後の展望まで、CEO宮谷氏に話を聞いた。
3D点群データ解析ソフトに革命を
スキャン・エックス創業者である宮谷聡氏とホン・トラン氏は、イスラエルのスタートアップで世界各地の3D点群データ解析の経験を積んできたエンジニアだ。2人は日本の既存3Dデータ解析ソフトの課題を見いだし、それぞれについて解決案を盛り込んだソフトウェア開発を心がけた。
「まずは価格破壊を目指しました」と言うCEOの宮谷氏。「スキャン・エックスクラウド」の基本料金は1ヶ月税込で2万9800円となっており、数百万のライセンス料となる既存ソフトと比べて格安だ。現在は1ヶ月の無料試用期間もあり、誰でも試すことができる。また実行環境としては、一般的に市販されている“普通の”ノートパソコンで問題ないのも特徴的だ。
「ドローンにレーザーをつけて山の上を飛ばしたり、LiDAR等によって地表からデータを測定していますが、これらの3D点群データはミリ精度となるため、データ量が膨大になります。これらをブラウザ上で圧縮処理をかけて表示しています」
更に、誰にでも使いやすい、データ解析ソフトを触ったことが無くても直感的に触れるようなユーザーインターフェース設計を目指した。またデータ納品時についても、データの共有URLを発行できる仕様になっており、インターネット経由で瞬時に共有できる。これによりCD-Rやハードディスクドライブに焼き込んだり郵送するという手間が軽減されている。
クラス分類後の様子(株式会社東豊開発コンサルタント提供)
地面、幹、枝葉という順で樹木を検出
倒木も検知可能
「スキャン・エックスクラウド」では、取り込んだ3D点群データを独自の機械学習のアルゴリズムにより、自動で木や地面、建物などに分類することができる。データ解析において面倒な作業と言われる高度な点群のクラス分類機能によって、ノイズ除去が行われ、地表面抽出を自動で実施する。この地表面抽出精度は、従来製品より倍近い精度を達成している。
「既存ソフトウェアは、例えば針葉樹の尖っている先端を検知してから周囲の境界線を探すというアルゴリズムでした。本ソフトウェアで用いている機械学習のアルゴリズムは全く違い、まずは地上を抽出し、幹を抽出して、そこから枝や葉を抽出するというのが大まかな流れです。
既存のやり方では大きい木の下に低い木があっても検知できなかったんですが、『スキャン・エックスクラウド』では可能ですし、倒木でも検知できます」と宮谷氏は語る。
建設現場では地面だけで事足りることも多いが、林業では木のデータを1本1本取り出し、分類することが求められる。
「樹木1本1本にIDが採番され、それぞれに対してX座標、Y座標、樹高、胸高直径、樹冠、材積量総本数、平均樹高、標準偏差等の詳細と共に、総材積量が算出されます」(宮谷氏)