絶妙なアシスト! ベテラン林業従事者の離脱を防ぐ“着るロボット”とは
2019/09/19
一方、人体への装着ではなく外骨格形状のロボット・パワードスーツの開発も行っている。こちらは乗用タイプで、アシストではなく機械が自力で歩行や荷物運搬を行うタイプだ。近未来を舞台にした映画「エイリアン2」や「アバター」に登場した、人が操縦するロボットを思い浮かべればイメージが湧くだろうか。
すでにプロトタイプは幾種類か完成しており、その一つコードネームNIOの場合、可搬重量は両腕で100キログラムあり歩行もできる。建設現場や災害現場で活躍することを想定しているが、林業現場でも丸太を担いで移動できそうだ。もっとも、こちらの実用化にはまだ時間がかかるだろう。
これまで人手不足や省力化の対策と言えば、大型で高性能な機械を導入するか外国人労働者の受け入れが考えられてきた。だが、それでは解決しない問題も多い。さまざまな仕事の隙間に埋もれている小さな重労働を緩和できる機械化も必要なのだ。パワードウエアは、そんな人に寄り添うロボットになるかもしれない。
PROFILE
森林ジャーナリスト
田中淳夫
静岡大学農学部林学科卒業後、出版社や新聞社勤務を経て独立し、森林ジャーナリストに。森林や林業をテーマに執筆活動を行う。主な著作に『森と日本人の1500年』(平凡社新書)、『森は怪しいワンダーランド』(新泉社)、『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』(築地書館)、『絶望の林業』(新泉社)など多数。奈良県在住。