木を食べる&木で調理する! 「味覚」から考える木材活用法が続々誕生中
2021/03/22
一方で静岡県川根本町では、スギのスーパーウッドパウダーを茶葉と混ぜた「おがっティー」を開発販売している。こちらは日本茶に木の香りを移して楽しむという趣向だ。このお茶は、花粉症の症状を抑えるのに効くという声もある。
そのほか、木材を薄く剥いだかんなくずからカツオ節のように出汁を取る試みをした料理人もいる。こちらもカロリーや栄養価を求めるのではなく、香りを楽しむ食べ方と言えるだろう。
このように木を食べ物とする発想は、食べて楽しむだけでなく、木と親しむという面からも新たな挑戦になる。木育になるかもしれない。
ただ消費される木材の量としては、イマイチかもしれない。また木材部分が目に見えない状態になってしまうのも惜しい。そこで、次回はもっと野趣に富む木材を使った調理法を紹介したい。それは「ウッドプランク・グリル」である。
PROFILE
森林ジャーナリスト
田中淳夫
静岡大学農学部林学科卒業後、出版社や新聞社勤務を経て独立し、森林ジャーナリストに。森林や林業をテーマに執筆活動を行う。主な著作に『森と日本人の1500年』(平凡社新書)、『森は怪しいワンダーランド』『絶望の林業』(新泉社)、『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』(築地書館)、『獣害列島 増えすぎた日本の野生動物たち』(イースト新書)など多数。奈良県在住。