広がる「クロモジ」を活かした取り組み! 注目集める和の香りは地域づくりにつながるか
2021/02/15
広がるクロモジを活かした取り組み
これからの成果に期待
クロモジの精油からは、アロマテラピー用に留まらず、新たな商品開発が進んでいる。古くからはクロモジ茶があったが、最近では焼酎やクラフトジン、石鹸、入浴剤、のど飴、和菓子、アイスクリーム、ビールと広がってきた。最近はマスク用スプレーも人気だ、また染色材料としてアパレルに利用する動きも出ている。
クロモジを地域起こしに活かそうという取組も全国に広がってきた。山口県では農林水産省と厚生労働省、漢方製剤メーカーなど69社の団体・日本漢方生薬製剤協会が連携して試験栽培と商品開発を進めている。長野県では、企業と地元の農林家がクロモジ栽培の「里親契約」を結んだ。企業や研究者、そしてクロモジによる地域づくりを模索している自治体・NPOなどが集まった「クロモジ研究会」も立ち上げられている。各地で静かなクロモジ・フィーバーが起きているのだ。
もちろん本当に地域づくりにつながるのか、ビジネスとして成り立つのか、成果が出るのはこれからだ。しかし挑戦する価値はあるだろう。
PROFILE
森林ジャーナリスト
田中淳夫
静岡大学農学部林学科卒業後、出版社や新聞社勤務を経て独立し、森林ジャーナリストに。森林や林業をテーマに執筆活動を行う。主な著作に『森と日本人の1500年』(平凡社新書)、『森は怪しいワンダーランド』『絶望の林業』(新泉社)、『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』(築地書館)、『獣害列島 増えすぎた日本の野生動物たち』(イースト新書)など多数。奈良県在住。