林業事業体が困っている!?「ベテランはなぜ若手に技術を教えないのか」問題
2020/11/02
「人材を育成する」という
視点の必要性
今の林業業界を見てみましょう。林業大学校等で林業を志す若者の多くが「俺はチェンソー1本で生きていく! 現場一筋が俺の生きる道!」と言う人が、実際に今でも多いのです。林業に従事する人の考え方は今も昔も変わっていない現実がそこにあり、「それではダメなんだよ」と教えていない。今の若者が今後、どんな40歳、50歳、60歳、70歳になっていくのかイメージが目に浮かんできます。
林業業界で働こうとしている人、事業体の経営をしている人は、他の業界では常識である、「人材を育成する」という視点を持って経営するべきだと思います。林業業界の人材育成は、行政が実施することになっていますが、その教育が終われば、事業体の中で人材育成をすることが必要です。
どんな若手でも下が入ってくれば先輩になり、歳を取れば若手を使う立場にならなければなりません。どうすれば良い先輩になれるのか、どうすれば良い上司になれるのかを誰かが教えていかなければなりません。この視点での取り組み(=職長研修)が林業業界で広がることが必要だと思っています(今年度は試しに岐阜県で実施してみます)。
PROFILE
FOREST MEDIA WORKS Inc. CEO
楢崎達也
カナダで森林工学を学んだ後、京都大学大学院を経て、大手銀行系シンクタンクにて森林・林業部門、大手林業会社S社の山林部門勤務。現在、同社にて、森林組合の経営改善支援、人材育成カリキュラム作成・運営、森林経営管理制度実施支援、林業×メディア融合、ITソリューションの現場サイドからの設計をしている。次世代森林産業展2019プロデューサー。
FOREST JOURNAL vol.5(2020年秋号)より転載