林業事業体でICT化が進まない理由を考える 〜業界は本当にICT化を求めているのか〜
2020/05/12

他業界では進むICT化。林業業界ではなぜ進まないのだろうか。ポイントは林業が「補助制度の基に成立している業種」であることだ。林業業界のICTを考える、FOREST MEDIA WORKS Inc.のCEO楢崎達也氏による連載コラム。
他業界では進むICT化
林業業界ではなぜ進まない?
皆さんもそうだと思いますが、業界に長くいると、同じような政策が繰返し繰返し提案されてくること、流行り廃りがあることが見えてきます(なので、実行主体としては飽きてくる笑)。しかし、世の中が進めば、続々と新しい考え方や技術がでてくるので、それらが政策に反映してくるのは当然です。
でも他の業界ではICT化が進むのに林業業界ではどうしてICT化が進まないのでしょう。ちなみに、昨年10月に農業分野のICTイベントに参加してみました。過去に、ビニルハウスの生産管理システムを苗木生産に導入した経験あり、農業ではさぞかし普及しているのかと思いきや、林業分野と同じような状況でした。
第1回では、実は「我々は本心ではICT化を望んでいない(のでは)」ということを書かせてもらいました。それが「スマート林業」政策とのギャップによって、「いろいろやっている割には進まない」という見え方になってしまっています。
農業分野の紹介もしましたが、同じ公金を活用して行われる公共事業の土木事業では、競争による元請け業者選定プロセスと業務管理に於いて、安全性(対内外)、効率化(工期短縮・コストダウン)、その他(社会貢献等)の工夫が求められます。そのため、これらに少しでもメリット(改善)があるICTを含むツール・外注先を貪欲に求めてきます。