国や林野庁はどう進める? スマート林業推進の施策を直撃!
2020/01/14
先を行く取組を支援し
全国に普及を促進
林野庁では平成30年度より『スマート林業実践対策』事業を創設して、ICT等の先端技術を現場レベルで活用する取り組みを支援している。
「平成30年度より5地域において、また令和元年度から新たに2地域を加えて支援を開始しました。
また、こうした先進事例を普及させるため『スマート林業実践対策』で得られた結果を利便性やコスト等として明示した事例集を作成しています。
その発刊を機に、都道府県、市町村および林業事業体等を対象とした報告会を開催して、アンケート調査を実施しました。
その結果からは、他地域の先進事例への高い関心、人材育成や連携体制構築といった“人”に関するニーズが高いことも把握しました」(同 鈴木さん)。
今後の動きを見ていくと、『林業成長産業化総合対策』の令和2年度予算概算要求では、新たに25億円の『林業イノベーション推進総合対策』が設けられている。
事業内容は、森林資源デジタル管理推進対策(レーザ計測等による森林資源・境界情報のデジタル化や、効率的な路網設計を支援するソフト等の導入支援)、ICT生産管理推進対策(レーザ計測による森林資源データの解析・管理手法の標準仕様の作成や、
木材生産管理に係るシステム標準仕様の作成支援)、革新的林業実践対策(ICTやリモートセンシング技術等の活用の実践推進や、先進的技術の実証・導入の実施)と幅広いため、ぜひ積極的に活用したい。
「林野庁ではこうした取組に加えて、林業作業の効率化や軽労化を図るため、林業機械の自動化や遠隔操作化も進めたいと考えています。
そのためには森林内での通信環境の整備や地理空間情報の取得など、解決しなければならない課題も多いところですが、農村地域においても通信環境の整備が今後進められる可能性があることや、
他分野においても自己位置推定などの自動走行に関する研究開発が活発に進められているので、そうした新たな技術や動きを注視しつつ、森林・林業分野への適用を検討していきたいと思います」。(林野庁 森林整備部 研究指導課 中村さん)。
話を聞いた人
林野庁 森林整備部 計画課 鈴木崇之さん
林野庁 森林整備部 研究指導課 中村 亨さん
取材・文/Reggy Kawashima
FOREST JOURNAL vol.2(2019-20年冬号)より転載