国や林野庁はどう進める? スマート林業推進の施策を直撃!
2020/01/14

ゲリラ豪雨や台風を原因とする災害が多発する近年、森林の持つ保全機能にも注目が集まっている。国や林野庁は、どのようにスマート林業を推進しているのだろう?日本におけるスマート林業について、林野庁職員が初歩から教えてくれた。
スマート林業の現在地
木材自給率は最低だった平成14年の18.8%から着実に回復しており、平成30年には36.6%にまで回復した。
ゲリラ豪雨や台風を原因とする災害が多発する近年、森林の持つ保全機能にも注目が集まっている。
忘れてはならないのは、第二次世界大戦後に大量に植林された針葉樹が今、主伐期を迎えていること。日本林業は今、千載一遇のチャンスを迎えているとも言えよう。
そんな背景のもと、日本のスマート林業は、どのように進もうとしているのだろうか。
スマート林業を支える
林野庁の様々な取組
国の施策に関連した大きなトピックは、令和元年6月21日に閣議決定された『経済財政運営と改革の基本方針2019』で農林水産業の活性化として
“高精度な資源情報を活用した森林管理、自動化機械の開発、ICTによる木材の生産管理などスマート林業等の林業イノベーションを推進する”とされたこと。
また、同じく令和元年6月21日に閣議決定された『成長戦略フォローアップ』で“スマート林業等の推進(林業イノベーションの推進)”が決まったことだ。
こうした国をあげてスマート林業を支援するという背景のもと、林野庁では様々な取組を行っている。
「スマート林業を支える技術としては、例えば、レーザ計測技術、クラウドGISを用いたデータ管理、ドローン測量、路網設計・支援ソフト、携帯端末を用いた計測・労働管理・提案、IoTハーベスタによる価値最適採材などが挙げられます。
このようにスマート林業と言っても、森林資源量の把握から伐採、販売に至るまで、様々な工程がありますよね。
私達は、資源段階、生産段階、流通段階のそれぞれの課題に対応するため、ICT等の先端技術の活用を推進しています。
資源段階においては、従来は紙ベースで管理していたものを森林GISによる一元管理にしました。これは全都道府県で導入済です。
また、従来は人間が現地に行って取得していた森林情報を航空レーザ計測とすることで効率化、高度化する取組を行っています。
森林資源量の把握は木材生産に必要な情報の出発点になりますので、資源段階でのデータ化は特に重要と考えています。もちろん生産段階、流通段階についても、着々と実証を進めているところです」(林野庁 森林整備部 計画課 鈴木さん)。