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エコ・地域づくり

過去の日本林業は多様性があった──混交林的な森づくりで環境と経済の両立を

現代でも、混交林的な森づくりを行う林業家はいる。三重県の速水林業のヒノキ林は、秋になると紅葉することで知られている。ヒノキが上層を形作り、その下にサクラやカエデなどの落葉広葉樹が多く入って育っているのだ。こちらは混植ではなく、ヒノキ林に強度間伐を繰り返して林床に光を多く入るようにしたことで、自然と広葉樹などが進入してきた結果だった。

そして、このヒノキ林と隣接する天然林に生えている植物の種類を調べたところ、ヒノキ林が243種、天然林が185種だった。ヒノキ林の方が生物多様性は高かったのである。人工林は生物多様性が低くて生態系が単純と思いがちだが、人の手を上手に入れることで豊かな森林生態系を作り出すこともできる。そして生産されるのは、高級な尾鷲檜だ。木材生産的にも劣っていない。

改めて考え直したい。一斉林施業を「王道」と思っている日本の林業の在り方は、意外と近年に作られたものである。また環境と経済の関係も、一方を重視したらもう一方は犠牲になる……というほど単純ではなく、両立は可能だ。林業は、単なる木材生産業ではなく、今や地球環境にも影響を及ぼす地域の生態系を左右する存在である。その経営には、より広い視点を持って臨んでいきたい。

PROFILE

森林ジャーナリスト

田中淳夫

静岡大学農学部林学科卒業後、出版社や新聞社勤務を経て独立し、森林ジャーナリストに。森林や林業をテーマに執筆活動を行う。主な著作に『森と日本人の1500年』(平凡社新書)、『森は怪しいワンダーランド』『絶望の林業』(新泉社)、『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』(築地書館)、『獣害列島 増えすぎた日本の野生動物たち』(イースト新書)など多数。奈良県在住。

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