熱海キコリーズの取組み! 民間林の課題解決へ、民間と行政のハブ的存在を目指して
2021/05/28
「親森林フィールド
『つながりの森(仮)』」
熱海市における市有林と民間林の割合は、27:73。民間林のモデルケースを作ることこそ、森林を取り巻く社会課題解決には不可欠と考え、民間林を活用する「親森林フィールド『つながりの森(仮)』」プロジェクトをスタート。
間伐材を用いながら、キャンプサイト、アスレチック、ツリーハウスなど、森の中で人々が寛ぎ、楽しめるフィールドを作る。2021年4月からクラウドファンディングにて支援者を募る予定で、7月頃オープン予定。
熱海キコリーズのヒストリー
- ● 2016年
任意団体の林業グループ「熱海キコリーズ」を設立 - ● 2018年
森での体験会など 周辺地域の住民に対するサービスを提供 - ● 2020年4月
「熱海キコリーズ」としてNPO法人化 - ● 2021年7月
親森林フィールド『つながりの森(仮)』オープン予定
熱海キコリーズの
地域を巻き込む活動のヒント
多様な職種、年齢層のメンバーが集結
任意団体設立時は11人だったメンバーも、現在は21人に。広告業、SE、造園業、建築家、保健師、マッサージ師、車販売業などそれぞれに本業を持つ、20代から60代の個性豊かな人々が集まっている。
メンバー間に上下関係はなく、誰もがフラットという心地良い関係性のなかで、それぞれの技術や知識、人脈を持ち寄ることで、活動の幅が広がっているという。メンバーのなかには、東京からの移住者や熱海市外から通う人も多く、他地域との繋がりも創出しやすい環境だ。
志が近い地域の事業者たちとの出会い
東京からのアクセスも良い熱海は移住者が多く、熱海キコリーズが提案する「新しい風」も受け入れられやすい地域性がある。また、地域の課題に積極的に取り組む、志の高い若い事業者も多く、「地元の間伐材を使いたい」というニーズから声がかかることも。
そうした近い価値観を持つ企業や人々と繋がるために重要なのが発信力。SNSや地域でのイベントを通して、自分たちの活動や思いをマメに発信し続けている。
メンバーが切磋琢磨しながら技術を習得
市主催の自伐型林業研修から発足した団体のため、当初は、設立メンバー全員が素人同然からのスタート。愛媛県で自伐林業を営む菊池俊一郎さんをはじめ、今でも定期的に講師を呼び、技術の向上を熱心に図っている。
取材当日も昨夏菊池さんから教わったというスローラインを活用しての掛かり木の伐採を華麗に披露。全員が技術も経験もほぼ横並びで切磋琢磨していることが、フラットで風通しのいい関係性にも繋がっている。
DATA
写真・文:曽田夕紀子(株式会社ミゲル)
FOREST JOURNAL vol.7(2021年春号)より転載