間伐材で「電気」と「熱」を作りだす! 飛騨高山で進むエネルギー活用術
2020/02/05
グッドライフアワードは、「持続可能な社会の実現のため、現在のライフスタイルを見つめ直すきっかけを作り、パートナーシップの強化を図り、環境と社会に良い暮らしやこれを支える取り組み」を評価する顕彰制度。森を活かし林業を育みながら、地域と協調して持続可能な社会の実現を目指す、飛騨高山の取り組みは、まさにこの賞に相応しいものといえるだろう。
谷渕氏は、将来を見据え、地域循環のさらなる拡がりを目指す。「発電した電気を地域で直接活用できるようにしたい。いまは中部電力に売電していますが、市と力を合わせて地元主体の電力会社を立ち上げ、そこに電気を供給できるようにしたいのです」。
次のフェーズに進もうとする飛騨高山から、まだまだ目が離せそうもない。
PROFILE
飛騨高山グリーンヒート合同会社
代表取締役社長
谷渕庸次氏
CLOSE UP!
高山市もバックアップ
官民一体が成功の秘訣
高山市は市内の92%、東京都に匹敵する面積を森林が占める日本一森林面積の大きい市だ。森林資源の活用は、同市最大の課題の一つといって良い。市が進める「自然エネルギーによるまちづくり」においても、「持続可能な森林経営と森林資源の適正な需要拡大を推進するとともに、木質バイオマスの安定供給を実現する仕組みを構築すること」が真っ先に挙げられている。
そうした理念のもと、高山市では、木質バイオマス促進のための様々な支援事業を行っている。飛騨高山グリーンヒート合同会社も支援の対象となり、コストの一部が助成金で賄われている。高山市役所環境政策部の山本貴央主査は、その理由を次のように話す。
「しぶきの湯 小型木質バイオマス発電所は、市内の公共温浴施設を活用した公益性のある木質バイオマス熱電供給ビジネスのモデルケースになるものと評価されました。また、地域内のエネルギー自給率を高め、雇用の創出にも役立つと期待されています」。
地域でバイオマスエネルギー事業を成功させるためには、地元関係者との連携が不可欠。官民で同じ方向を向き、一体となって取り組みを進めている点が、飛騨高山の最大の強みなのかも知れない。
高山市役所 環境政策部 環境政策推進課
主査 山本貴央氏/主事 菅野由以氏
FOREST JOURNAL vol.2(2019-20年冬号)より転載