山を維持するための働きかたとは? 林業と副業のバランスを考える
2020/11/24

林業を副業にするのか、副業で林業を支えるのか。いずれにしても山を維持するためには、多角的な取組を行い両方のバランスをとることが大切だ。森林ジャーナリストが考える林業の未来とは。希望の林業コラム。
林業と副業のバランスが大切
英国風ファッションブランドを有するアパレルメーカーは、奈良県に広大な森林を所有し林業を営んでいる。中国地方でファーストフードチェーンを手広く経営しているのも古くからの林業家だ。そのほか地方の百貨店や銀行の創業者には、林業から身を起こした人が少なくない。
それほど大規模な事業でなくても、ショッピングセンターや保険代理店、カーディーラー、ガソリンスタンドなどを経営する林業家は珍しくない。おそらく副業で始めたそれらの事業を上手く軌道に乗せて、今ではそちらの収益が山を支えているのだろう。
山主でなくても、素材生産の傍ら別の事業、たとえば運送業や街路樹管理などを営む業者は数多い。林業は、長期間かかるうえに、山林面積が十分になければ専業では難しい。
そこで木材生産とは別に仕事を持つのが普通だ。どちらが本業でどちらが副業になるかはケースバイケースだが、経営を安定させるためには多角経営が欠かせないのである。
では、どんな仕事が行えるだろうか。森林とはまったく違う事業を行う人もいるが、森林を利用するケースも多い。キャンプ場経営のほか、「冒険の森」と呼ばれる樹上のアスレチック施設を立ち上げてレジャー分野に進出する林家もいる。林内で観光的な花園を開くケースもある。
薪生産に力を入れる林家もいた。広葉樹は除伐で切り捨てることが多いが、それをちゃんと小割りし乾燥させて薪にするのだ。薪ストーブや薪窯のユーザーは意外と多く、良質の薪は重宝される。配達まで行い「週3日の仕事で年収300万円は固い」と豪語する林家もいた。
チェンソーによる彫刻チェンソーアートの腕前を上げて、作品を販売するだけでなく、ショーに呼ばれたりチェンソーアートスクールの講師として稼ぐ人もいる。