経営者の視点から見る林業の課題とは?職業としての林業を見つめ直す
2020/09/10
そうなると、ある疑問が湧いてきます。「どうして、そんなに好きな林業ができる会社を辞めるのか?」ということです。なぜでしょうか。
僕の結論は、「林業は好きだけど、所属している会社が嫌い」ということです。仮に会社は嫌いでも所属し続ければ、好きな林業はやることができるはずです。それでも「辞める」という大きな選択をせざるを得ないのは、辞める(=他社に移る)以外の選択肢がないからです。ここで真剣に考えるべきは「辞める人」の視点ではなく、「経営者」の視点です。
組織経営から考える
林業という営み
コストをかけて来た人材が辞めることは大きな損失です。また、新しい人材を採用して育成しなくてはならず、さらにコストをかける必要が出てきます。当然、組織の発展は停滞します。僕は、ここに、林業業界の大きな課題があると断言します。本コラムを執筆する背景となり、楢崎が問題提起させていただいている「林業事業体の組織経営」の課題です。
林業業界は、林業大学校などを設置して、林業従事者の増加に必死に頑張っています。しかし、一方で、実は辞める人が多いです。統計的には、ある県では3年間で約100名が中途退社しています。個人に対しても、林業を選択し、そして辞めるという判断には、人生がかかっています。弊社ではこれは大きな問題であり、なんとか食い止める策を関係者と日々、検討しています。
PROFILE
FOREST MEDIA WORKS Inc.
CEO
楢崎達也
カナダで森林工学を学んだ後、京都大学大学院を経て、大手銀行系シンクタンクにて森林・林業部門、大手林業会社S社の山林部門勤務。現在、同社にて、森林組合の経営改善支援、人材育成カリキュラム作成・運営、森林経営管理制度実施支援、林業×メディア融合、ITソリューションの現場サイドからの設計をしている。次世代森林産業展2019プロデューサー。
文/FOREST MEDIA WORKS Inc. CEO 楢崎達也
FOREST JOURNAL vol.4(2020年夏号)より転載