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歴史は繰り返す? ヤト・ヤソの被害にご注意!

皆伐再造林が増え、下刈りを省略したり、筋刈りや坪刈りにするようになった。しかしそれによって、40~50年前のような野生鳥獣による森林被害が増加したのだ。コストダウンの裏側にあった思わぬ落とし穴に、我々はどう対処していくべきか。

帰ってきた天敵

先日訪れた植林地でのこと。周囲にシカ対策用の網が張り巡らされているのに、今年植えられたというヒノキの苗木は、多くが穂を切り取られ、植えた時には30cmはあったという丈が半分くらいかそれ以下しかない。

目立たないので、うっかりすると踏みつけてしまいそうになる。

「なんだ、シカに入られちゃってるじゃないか」と思っていると、同行していた造林の研究者が「こりゃあヤトだな」とつぶやくのである。

「え? ヤト、ですか?」。きょとんとして聞き返す私に、その研究者は「そう、ヤト。ウサギですよ」と教えてくれた。ヤトとは「野兎」、野ウサギのことだったのである。

この現場は、省力化のためにできるだけ下刈りを省略しようということで、苗木の周りを筋状に刈る「筋刈り」という手法が採用されていた。そのため、苗木から離れたところは、やはり筋状に草が残る。

それを見やって件の研究者は「こういうところはね、ヤトやヤソが天敵の猛禽類から隠れるのにちょうどいいんですよ」と続ける。

おわかりだろうが、ヤソとは耶蘇ではなく、野鼠である。キリスト教ではなく、野ネズミのことを言っているのである。


筋刈りで残された草むら。ウサギやネズミの格好の隠れ場所になる。

「昔の造林の教科書には、ウサギやネズミが増えないように、こういう刈り残しをするなって書いてあったんですよ。今はどうかなあ。いずれにしても、最近は皆伐再造林が増えているでしょ。野兎や野鼠の被害も昔みたいに増えますよ。歴史は繰り返すってやつです」

そういえば確かに、拡大造林が盛んに行われていた今から40~50年前は、野生鳥獣による森林被害と言えば、ウサギやネズミによるものが主流だったと、古い資料で見た覚えがある。

だが、最近はウサギやネズミの被害はめっきり減り、シカによる被害が深刻化しているのは周知の通りだ。林野庁の直近のデータでも、シカの被害が全体の7割以上を占め、ネズミの被害はわずか12%、ウサギとなると1%しかない。

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