従業員確保・組織発展を目指して─中小ゆえの機動力と主体性で“地域に認められる”組織経営へ
2021/08/03

林業事業体は中小企業であるが故に、経営の努力の方向性は大企業とは異なってくる。ほかの産業では「選ばれる中小企業になるため」にどのような努力をしているのだろう。日本の工業技術を支える「下町の中小企業」である株式会社光製作所に経営の工夫を聞いた。
メイン画像:光製作所のみなさん。従業員自ら食事会を企画するなどコミュニケ―ションも活発だ。
POINT01
機動力を抜群に発揮する
「経営理念」
「中小企業には、小規模ゆえの機動力により作り出せる成功や喜びがある」と井上社長は力説する。そのために必要なのは「経営理念」。組織の目指す方向を示し、業務上の判断基準となる憲法的なものが「経営理念」である。
海外で経営学を学び3代目を継いだ井上社長は、その重要性を意識して「経営理念」を作成、運用している。「組織の経営は今でも苦難の連続で難しい。しかし、小さい組織だからこそ、経営の方向性を社員全員に示しチームワークで課題を突破していく事が重要であり、喜びであると考えます」(井上社長)。
経営理念のある組織とは?
●業務上の判断を迷わない・ブレない
●経営方針に社員が納得できる
●求める社風が生まれる
●組織の将来性を描きやすい
POINT02
地域に認められるために
能動的な取組みが重要
かつて、地元の学校や他県から来る学生の工場見学を受け入れることは「ボランティア」活動だと思っていた井上社長。しかし、ある時から工場と地域との関係づくり、また人材確保のためには会社を地域にPRすることが重要だと理解した。
組織として地域に対して営業をし、地域から立派な組織であると認めてもらう事が、人材確保への近道である事を知る。今では、テレビ番組から取材が入ったり、SDGs活動に取り組むなど、積極的に地域に働きかけている。
POINT3
やれないことは決めない
従業員自らの決定で、
主体性を生み出す
中小企業の経営は、経営者と従業員が一体となって業務に当たる事が必要。そのため、井上社長は、経営者の命令に従うだけが従業員ということではなく、従業員の主体性が生み出されるための社内環境づくりに力を入れている。
また「社員がやれないことは決めない」としている。やれないことを社員に押し付けても不必要なプレッシャーがかかるだけ、社内の雰囲気も悪くなってしまうからである。井上社長は経営者と従業員で連携し、お互いメリットがある経営をしていくことに力を注いでいる。