あの人はなぜ林業事業体を辞めてしまったのか─岐阜県の調査で判明した「離職者を減少させる方法」
2021/07/14

全国の林業事業体では慢性的に働き手不足であり、また、退職者も全国で続出している。林業の労働環境に、働き手はどう感じているのか。岐阜県の「離職者を減少させるための調査検討事例」を見てみよう。
●あなたは良い組織の経営者ですか?
●組織の経営の先行きは持続・継続的ですか?
●組織の中で次世代を継ぐ人材は育っていますか?
●今の組織で働くことを、他の人に勧めたいですか
現状の労働環境は
どんなもの?
調査1 なぜ林業会社をやめてしまったの?
林業から離れた今、何しているの?
岐阜県は過去3年間に林業事業体を離職した人の追跡調査を実施。アンケート・インタビューをすることで、何が原因で辞める判断をしたのか、現在どのような仕事をしているのかを把握した。
岐阜県による「林業事業体経営強化事業」
における離職者調査
「岐阜県の林業のさらなる発展のためには、行政がこれまで関与してきた補助制度や技術指導だけでは足りないと考えました」と、調査を指揮した山田さんは話す。
「組織体としてのどのように発展し、後に続く人材育成をしていくのかを考えなければ、岐阜県の林業の成長はありえない。いくら新しい人材を育成しても、その人たちが林業業界に留まってくれなければ、林業従事者数は増えないし、生産量・生産性は伸びません。林業で働き続けてもらうためには、林業事業体の経営面の改善に踏み込む必要があるのではないかと考え、調査を行うことにしました」
※2019-2020年度実施。
調査の結果は以下の通り。
●林業事業離職後の就職先
無効回答:2 ※112名に送付、23名から回収した結果
【調査結果からわかった傾向】
林業事業体を辞めた人の約半数は、別の林業事業体への就職または独立して林業を継続している。
林業をやりたくないから辞めるのではなく、林業を続けたいから辞めている離職者が多い。
林業をやりたいと思っている人が辞めざるを得ない理由は、林業において全体的にいえる肉体的な辛さや給与面の問題ではなく、組織経営面に課題がある可能性がある。